2016年02月25日

「相棒season14」第17話「物理学者と猫」(2月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「相棒season14」第17話「物理学者と猫」(2月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season14」第17話「物理学者と猫」(2月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)。

<ネタバレあらすじ>

とある研究室でのことである。
1人の女性(大沼百合子)が床に倒れ込んでいた。
その傍らには一冊のノートが、そして「シュレディンガーの猫」……。

2ヶ月後、右京(水谷豊)と冠城(反町隆史)の姿は帝都大学にあった。
右京たちは謎の死を遂げた成田知子(大沼百合子)教授の遺品を返却に訪れていたのだ。
知子は物理学者、次世代機器として注目されていた量子コンピューターの実用化に成功しつつあったのだそうだ。
その矢先の死であった。
知子の後を継いだ研究者が奮闘しているが量子コンピューターの実用化は難航しているようだ。

【09:02】

知子と親しかった理論物理学者の堀井(正名僕蔵)准教授を訪ねる右京たち。
ところが、幾ら呼ぼうとも堀井は研究室から出て来ない。
留守なのだろうか?
右京は「成田教授のノートに書かれていたRTの意味を知りたかったのですが」と悔しがる。
其処には数式と共に赤文字で「RT」と大書されていたが……。

仕方なく総務部へ知子の夫・祐二を訪ねた右京たち。
知子の死を悼む祐二、知子の死因は誤って液体窒素で酸欠を起こし窒息死したことにあった。

右京は知子が書いたと思われる実験器具の注文票を確認し、液体窒素が1本から2本に変更されていることに気付く。
しかも、2本に変更した筆跡のみは他と異なっていた。
どうやら、知子以外の人物が手直ししたようだが……。

知子の助手であった山崎麻美を訪ねた右京たち。
彼女こそ、知子の後を継いだとされる研究者であった。
麻美によると、液体窒素は熱エネルギーを排除する為の物だったらしい。

改めて、堀井准教授を訪ねる右京たち。
今度は堀井も在室していた。
いや、先程も在室していたのだが研究に集中していて気付けなかったらしい。

「ニャア」
可愛らしい猫の呼び声に目を留めた右京。
其処には毛並みの良い黒猫が座っていた。

右京は猫を見るなり「シュレディンガーの猫ですね」と口にする。
これに目を細めた堀井は「シュレディンガーの猫」について語り出す。

「シュレディンガーの猫(シュレーディンガーの猫)」とは次のような現代物理の考え方である(あくまで本作中での解釈による)。

2分の1の確率で毒ガスが流れるケージがある。
此処に猫を入れたとする。
さて、猫は生きているか死んでいるか?
答えはケージを開けてみるまで分からない。
此の時、ケージの中には「生きている猫」と「死んでいる猫」が重なった状態で存在する。
すなわち、「猫が生きている世界」と「猫が死んでいる世界」とが並立してる。
しかし、ケージを開けた瞬間にどちらかの世界にシフトするのだ。
そして、残された世界もまた並行世界として存在する。

堀井の説明に狐に抓まれたような顔をする冠城であったが……。

【09:20】

突如として警報装置のアラームが鳴り響いた。
どうやら実験室で何かが起こったようだ。

右京と堀井が慌てて駆け付けたところ、研究生の近江が右往左往している。
実験室の中でガスが発生しているようだが換気装置が動いていないようである。
しかも、中には麻美が居るそうだ。

「どうせ鼠でも詰まったのだろう。それよりも、何のガスか分かるまでは扉を開けないように」

周囲から人払いを行う堀井。
結局、ガスではなく液体窒素であることが分かり中に入ったときには麻美は死亡していた。
奇しくも知子と同じ死因であった。

近江によれば麻美は知子と同じ研究を行っていたらしい。
麻美が知子の研究を引き継ぐこととなった経緯だが、知子と麻美は実践、堀井は理論と分かれていた為に自動的に麻美が研究を引き継ぐことになったと言う。
しかも、これにより麻美は知子の研究の権利を独占したのだそうだ。

堀井の言葉通り、換気口から鼠の死骸が検出された。
どうやら、この鼠が換気口を塞ぎ麻美を死に追いやったようだ。
ところが、鼠が毒殺されていたことが判明。
既に死亡していた鼠が換気口を塞げる筈が無い。
つまり、何者かが意図的に其処に置いたことになる。

【09:50】

右京は堀井の研究室を密かに調べ、当日の実験予定表を入手した。
其処には「麻美の実験が液体窒素を用いるものである」と記されていた。

右京は冠城と共に堀井の前へ。
まず、鼠の死骸から麻美の死が他殺であることを指摘。
これを堀井が「どうせ鼠だろう」と口走っていたこと。
さらに、堀井が液体窒素を用いた麻美の実験内容を事前に知っており「何のガスか分からない」と人払いする必要が無かったことから彼が犯人であると断定する。

「まさか、こんなときに警察が来るなんてね」
自嘲する堀井。

堀井と知子は同志であった。
そんな知子を殺害し研究を奪った麻美が許せなかったのだそうだ。

「あなたには本当にこの道しかなかったなんですか」
これを聞いた右京は堀井の犯行を惜しむ。

「麻美先生を殺さなかったとして僕には他にどんな世界があったのでしょうか?」
そんな右京に問いかける堀井だが……。

「ニャア」
猫の声と共に堀井の意識が消えた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆第2の世界◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【09:20】

堀井が気付いた時、彼の姿は自身の研究室にあった。
目の前には右京と冠城の姿がある。
どうやら「シュレディンガーの猫」について説明した直後のようだ。

と、突如として警報装置のアラームが鳴り響いた。
どうやら、実験室で麻美の事故が起こったようである。

飛び出して行く堀井。
続こうとした右京だが、その目が机の上の資料で止まる。
其処には当日の実験予定表があった。
これを目にした右京は「おや?」と首を傾げる。

「どうせ鼠でも詰まったのだろう。それよりも、何のガスか分かるまでは扉を開けないように」
右往左往する近江に対し、人払いを行う堀井。
だが、右京はこれを無視して室内へ突入し麻美を救う。
実験予定表から「液体窒素」であると知った為だ。

数十分後、先と同じく換気扇を止めた鼠の死因が判明した。
右京は堀井の犯行と断定する。

【09:50】

堀井は一命を取り留めた麻美からある事実を聞かされていた。
驚いた堀井は研究室から内線電話を入れる。

数分後、堀井は祐二と密会していた。
堀井は麻美から聞いた内容を祐二に問い詰める。

祐二は知子の意志を無視し、量子コンピューターについて複数の企業と勝手に契約を結んでいたらしい。
これを知った麻美は研究の権利は自身の物だと祐二に主張、祐二が逆上し麻美へ殺意を抱いていたのだ。
しかも、祐二と知子の間には離婚話も持ち上がっていたそうである。

だが、堀井は祐二から全く逆のことを聞かされていた。
「麻美が知子を殺害し研究を奪った」と吹き込まれていたのだ。
しかも、実際に死因となった液体窒素を追加したのは祐二であった。
堀井は「お前が成田教授を殺害した」と叫ぶ。

数時間後、堀井の前に右京たちが現れた。
右京たちは堀井が祐二に騙され麻美を襲ったことを見抜いていた。

「成田さんは何処に居ますか?」
「もういません」
祐二の居場所を問う右京に、首を振る堀井。
その手には血塗れのナイフが握られていた。
祐二は堀井に殺害されたのだ。

「復讐を果たせて満足ですか、麻美さんを殺さずに済んだのに」
「そんなことは分かってます。でも、自分で自分を止められなかった……こうする以外に、他にどんな世界があったのでしょうか」
堀井が涙ながらに訴える。

「ニャア」
途端、猫の声と共に堀井の意識が消えた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆第3の世界◆◆◆◆◆◆◆◆◆

再び堀井が目覚めた時、其処は麻美殺害に失敗した直後であった。
「私まで殺されかけたのかと思った」
麻美は祐二についての情報を堀井に語り出す。

【09:50】

右京たちは堀井が麻美を狙ったことを突き止め研究室を訪れた。
ふと、机の上を眺めた右京は堀井が内線で祐二を呼び出したことに気付く。
祐二が堀井を騙したことを察した右京は祐二に連絡を入れる。

堀井に狙われていることを教えられた祐二。
だが、既に隣には堀井が居た。
祐二は「トイレに行きたい」と嘘を吐きその場を離れようとする。
しかし、これに気付いた堀井が祐二に襲い掛かる。

必死に抵抗する祐二は「液体窒素を用意し知子殺害を目論んだことは認めるが、実行する前に既に死んでいた」と主張する。
知子に離婚され量子コンピューターの権利を失うことを怖れたのだ。
さらに、堀井を騙して麻美を殺害させようとしたことも事実であった。
量子コンピューターの権利を得る為に麻美が邪魔だったようだ。

揉み合う2人、右京たちが駆け付けた頃には堀井の胸にナイフが刺さっていた。
祐二の抵抗に遭い刺されてしまったのだ。

「僕にはどんな世界が選べたんでしょう……」
事切れる寸前に呟く堀井。

麻美を殺害する世界。
祐二を殺害する世界。
復讐せずに苦しみを抱え続ける世界。
どれを選んでも其処に知子は居ない。

「ニャア」
途端、猫の声と共に堀井の意識が消えた。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆第4の世界◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【09:02】

堀井は研究室で目覚めると、部屋の外が何やら騒々しいことに気付いた。
そっと聞き耳を立てる堀井。
すると「成田教授のノートに書かれていたRTの意味を知りたかったのですが」と悔しがる右京の声が。
諦めたのか、右京と冠城は部屋の前からそっと歩き去る。

(何だったのだろう?)
気になった堀井は少しだけ扉を開けると様子を窺うことに。
其処からは離れて行く右京と冠城の背中が見えた。
ところが……。

「ニャア」
何時の間に出て来たのか、ケージから這い出した黒猫が扉越しに大きな声で鳴いていた。
この声を聞き止めた右京が咄嗟に振り返る。
奇しくも堀井と目が合ってしまった。
堀井を認めた右京は笑顔を浮かべつつ彼に歩み寄って来た。

麻美殺害計画について気に掛ける堀井。
早々に右京たちに引き取りを願うべく、訪問の目的を問う。
これに右京は知子のノートにあった「RT」の意味を尋ねるが。

「ああ、それはRe Thinkですよ。つまり、もう一度考え直せ」

これに「そういう意味でしたか」と頷く右京。
しかも「だとすれば、成田教授は事故ではなく自殺ですね」と語り出した。

突拍子のない右京の言葉に真意を問い質す堀井。
右京は「シュレディンガーの猫」についての堀井のように静かに説明を始めた。

量子コンピューターの根幹となる数式に「RT」と記されていたのだ。
つまり、知子は「それに再考すべし」と考えていたことになる、
そう、知子が発表した数式は誤っていたのである。
これに気付いた知子が絶望し自殺してしまったのだ。
知子を殺したのは……麻美でもなく、祐二でもなく、彼女が提唱した数式であった。

部屋を去る右京、堀井は信じられないと言った表情で座り込んでいた。

【09:10】

堀井は麻美に実験中止を訴えていた。
堀井の剣幕に押されたのか、渋々これを認めた麻美。
講堂に残った堀井は静かに天井を見上げる。

実はあの数式を知子に提供したのは堀井であった。
つまり、知子を間接的に殺害してしまったのは堀井だったのだ。
それに気付いた堀井は自殺を図ろうとする。

「お待ちなさい!!」
其処へ割って入る右京。
堀井を制止すると、知子の遺留品にあった手紙を見せる。
それは知子が量子コンピューターの功績により招聘される筈だった企業への手紙である。
知子は手紙の中で堀井を推薦していた。

「何故、成田教授が数式があなたのものだと公表しなかったか分かりますか?」

数式が堀井のものだと公表すれば知子のダメージは最低限で済んだだろう。
だが、しなかった。
何故か?

知子は堀井の才能を守りたかったのだ。
だから、自身が命を絶とうとも彼を庇った。

「あなたには成田先生の遺志を継ぎ研究を完成させる世界があるのではないですか?」
右京の言葉にハッとする堀井、どうやら大丈夫のようだ。

「猫と出会ったのは何時ですか?」
「2ヶ月ほど前、成田先生が亡くなった後です」
堀井の姿に安心したのか、講堂を後にしようとした右京。
ふと、黒猫について問いかける。

「呼び止めてくれてどうもありがとう」
去り際、猫に呼びかける右京。
もちろん、09時02分の研究室前での出来事を指して居る。
猫は「ニャア」と嬉しそうに応じていた。

猫と共に講堂に残された堀井に知子の声が甦る。

「学べば学ぶほど自身の無知を知らされる。無知を知ればさらに知りたくなる……あなたは考え続けなさい」
それは知子のメッセージだ。

「研究を完成させる世界……」
そう呟く堀井の眼には新たな世界への道筋がはっきりと見据えられていた。
こうして、遂に猫の生死が明かされたのだ。

「ニャアァァァァァァ」
一際高い猫の鳴き声が響き渡った。
次に堀井が周囲を見回した時、其処からは猫の姿は消えていた。

同じ頃、帝都大学正門前を右京たちが歩いていた。

「何で猫のことを?」
「いや、成田教授の生まれ変わりではないかと思いまして」
「意外ですね、右京さんがそんなこと考えるなんて」
「君、僕たちの世界の隣には別の世界があるんですよ」

冠城の問いかけに笑って答える右京であった―――17話了。

<感想>

シーズン14第17話。
脚本は徳永富彦さん。

サブタイトルは「物理学者と猫」。

個人的に現時点で「相棒season14」ベストのエピソード。
こう言ったエピソードも扱えるのが「相棒」の懐の深さでしょう。
とはいえ「シュレーディンガーの猫」よりは「試行錯誤しつつ最適解を探ること」から「ループもの」に近かったかな。

知子は学問の深淵に殺されました。
しかし、その遺志を堀井に託した。
知子の真の後継者は堀井でした。
きっと堀井は知子の敵討を果たすことでしょう。
いや、仮に堀井の代で討てずとも知子が堀井に託したように別の誰かに託すことは出来る。
そして、何時かは知子や堀井の志が果たされる日は来る。
それを果たす為に、知子は猫となって堀井を守ろうとしたのでしょう。
此の点で本作は「猫(知子)が如何に堀井の犯行を防ぐか」とのループものとも言えるでしょう。

そんな本作ですが構造自体が「シュレーディンガーの猫」とも言えます。
「シュレーディンガーの猫」に登場する事物と置き換えてみると……。
猫=堀井
ケージ=第17話「物理学者と猫」という1時間のドラマ
毒ガス=堀井が犯行に及ぶこと
蓋を開ける観測者=視聴者の立場であり、ラストまで視聴することが蓋を開けることを意味していました。
すなわち「堀井が罪を犯す世界」と「堀井が罪を犯さない世界」がラスト(蓋を開ける)まで作中で並立していたワケです。
言うなれば、知らずして視聴者もドラマに参加していたことになります。
此の点もかなり興味深く感じました。

ちなみに「シュレーディンガーの猫」は量子力学の思考実験のことで様々な解釈が存在しています。
例えば「蓋を開けてみるまでは答えが分からない。すなわち、その時点では複数の可能性が存在する」的な解釈が割と多いように思います。

本作の場合は「ケージの中の猫は生死が重なった状態であり、蓋を開けた瞬間に世界が確定するが残された側も並行世界として存在する」との解釈でした。
本作の解釈を簡単に置き換えると「アドベンチャーゲームの選択肢を選ぶ直前の状態」だと思われます。
いずれかの選択肢を選んだ時点でその選択肢の世界が確定し、他の選択肢の可能性は並行世界となる。
選択肢まで戻ればもう一方の世界を選ぶことも出来る。
第4の世界にてようやく世界が確定したと言ったところでしょうか。
やはり、どちらかと言えば「ループもの」に近かったような印象です。

「ループもの」と言えば『七回死んだ男』や『リピートアフターミー』などがかなり面白いですね。
また、「シュレーディンガーの猫」を用いた「ミステリ」と言えば『メルカトルかく語りき 最終篇 収束』と『異次元の館の殺人』がオススメです。
興味のある方はチェックすべし!!

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2016年02月18日

「相棒season14」第16話「右京の同級生」(2月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「相棒season14」第16話「右京の同級生」(2月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season14」第16話「右京の同級生」(2月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)。

<ネタバレあらすじ>

その夜、家路を急いでいた右京(水谷豊)は道で蹲る男性(広瀬剛進)を発見し声を掛けた。
男性は右京に「小峰医院、小峰医院へ……」と繰り返す。

小峰医院へ男性を運び込んだ右京。
対応に現れた女医(竹下景子)は男性を見るなり、気管支喘息の発作と見抜く。
こうして女医の適切な治療により男性は回復することとなった。

女医は右京に礼をするとともに互いの紹介を始める。

まず、右京が助けた男性の名はマリオ(広瀬剛進)。
日系三世のエルドビア人だそうだ。

そして、女医の名は小峰律子(竹下景子)。
この名を聞いた右京は「もしかして……」と問いかける。

実は右京と律子は小学校の同級生であった。
とはいえ、律子は2学期が終わる3日前に転校して来て冬休みのうちに転校してしまったのだが。

思わぬ再会を果たした2人が懐かしがっていたところ、回復したマルコが「仕事へ行かねば」と言い出した。
「無理をしないように」と気遣う律子だが、マリオは「休むわけにはいかない」と退かない。

一方、右京はマリオが北品川第三ビルの入館証を持っていることに気付いた。
どうやら、マリオは北品川第三ビルで清掃員として働いているらしい。

右京と律子に見送られるマリオ。
「ああ、そうだ」とマリオは懐にしていた『はてしない物語(下巻)』を律子に手渡す。
これに律子は「そうそう次の本」として『はてしない物語(上巻)』を差し出す。
マリオは律子から本をよく借りるらしい。

同じ頃、「花の里」では冠城(反町隆史)が野坂(春田純一)と旧交を温めていた。
野坂は入国管理局の職員であったが……。

翌朝、特命係では入国管理局について話題に上がっていた。
何でも立て続けに摘発に失敗しており、内部か所轄からの情報流出が疑われているらしい。

そんな中、北品川第三ビルで変死体騒ぎが発生。
其処がマリオの勤務先であると知った右京は現場へ向かう。

被害者は高井義彦(神農直隆)、外国人労働者の派遣業を営む「国際ディスパッチ協会」の職員であった。
何者かと揉み合いになり死亡したものと思われた。

右京の動きを見ていた冠城は日下部(榎木孝明)からの秘密指令を明かす。
それこそ情報流出の原因を探ること、冠城は野坂を秘密裏に調べていたのである。
冠城によれば、野坂が所持していたマッチが「北品川第三ビル」のテナントだったことが気になっているらしいが……。

その午後、右京は冠城を連れて律子のもとを訪れる。
其処は国際色豊かな場所となっていた。
様々な国の人々が集いながらも国境はなく老若男女が和気藹々と寛いでいる。
もしかすると、楽園とはこんな場所を指すのかもしれない。

ところが、マリオが血相を変えて飛び込んで来た。
その肩には同じくエルドビア人の青年・ニコラが背負われている。
ニコラは黒木金属加工会社に勤務しているが、金属プレス機で指を切断してしまったのだそうだ。
しかし、ニコラはオーバーステイしている為に医療機関に通えなかったのだ。

オーバーステイと聞いた冠城は目の色を変えるが、見かねた律子が治療を手配し彼を庇う。
さらに、右京が刑事であると知った律子は反発するように。

仕方なくその場を去った右京たちは「国際ディスパッチ協会」の理事長・斉川のもとへ。
斉川によれば、彼らの仕事は海外の労働者を必要とされる受け入れ先に派遣することなのだそうだ。
従って、喜ばれこそすれ恨まれる覚えはないらしい。
しかし、右京が黒木金属加工について尋ねたところ斉川は何やら眉を顰める。

続いて黒木金属加工を訪れた右京たち。
黒木は何を聞かれても「高井さんに聞いてくれ」の一点張りだ。
高井が死亡したことを知らないらしい。
それどころか「上納金まで払ってるんだ。低賃金の過重労働が何だよ!!」と怒り出した。

これを聞いた冠城は「国際ディスパッチ協会が上納金を取り、低賃金で雇用出来るオーバーステイで脛に傷を持つ労働者を故意に派遣していたのでは」と疑う。

矢先、摘発逃れに成功している人々が主にエルドビア人であり「国際ディスパッチ協会」と繋がっていたことが明らかに。
右京は摘発逃れと高井の死に関連性があると見込む。

そんな中、マリオが伊丹たちに拘束された。
律子に処方された喘息の薬が高井殺害現場に落ちていたことが問題となったのだ。
右京と律子が伊丹に掛け合いマリオは解放されることとなった。

此処で、律子は「高井には殺される理由がある」と語る。
ニコラの怪我は高井に言い含められてのことだったのだ。
ニコラは高井から不当な利息の借金をしており、その返済に労災を充てるように命じられたのであった。
律子は「本当に悪いのは誰なのか突き止めて」と右京に迫る。

「国際ディスパッチ協会」の悪事が次々と明らかになりつつあった。
エルドビア側で出国手数料を取った上に、日本で斡旋料を取っていたのである。
さらに、上納金や労災金なども手に入れていたのである。
しかも、高井からコカインの反応が検出された。
冠城はエルドビアから人材派遣を装い密輸したのではと考える。
もしも、これが事実ならば摘発情報を流していた人間にも相当な利益が転がり込んだ筈だ。
このとき、冠城の脳裏を上機嫌の野坂の姿が過る。

直後、上層部に圧力がかかり「高井の死が事故である」と結論されてしまった。
納得の行かない伊丹は右京に高井の通話履歴を手渡す。
これを目にした右京は真相に至る。

その夜、北品川第三ビルのトイレで清掃業務に携わるマリオの姿があった。
其処にパーカーの男性が駈け込んで来た。
慌てた様子の男性は用を足すべく小便器へと歩み寄る……かと思いきや、何やらメモをマリオへと突き出した。
これを受け取ろうとしたマリオだが、控えていた冠城が割って入る。

メモの中には「山辺縫製工場社員寮」の他に日時が記されていた。
摘発情報である。
そして、パーカー男性の正体こそ野坂であった。

高井の通話履歴には野坂の電話番号が並んでいた。
高井と野坂には交流があったのだ。

摘発情報を流していたのは野坂で間違いない。
しかし、問題はその情報がマリオを通じて誰の手に渡っていたのかである。

数十分後、右京たちは律子のもとに居た。
野坂を誤解していたことを詫びる右京。
当初、右京は野坂が「国際ディスパッチ協会」を通じて情報と引き換えに多額の利益を得ていたと考えた。
だが、全くの逆だったのだ。
野坂は「国際ディスパッチ協会」に拘束されている労働者たちを摘発から逃がしていたのである。
しかし、高井は野坂が情報流出を行っていることに気付き脅迫した。
其処で思い余った野坂が高井を殺害してしまったのだ。
そして、野坂からマリオを通じて摘発情報を受け取っていた人物こそ律子であった。

「何時から疑ってたの?」問いかける律子。
「果てしない物語ですよ」と応じる右京。

あの夜、マリオは律子に『はてしない物語(下巻)』を返却した。
そして、律子がマリオに『はてしない物語(上巻)』を手渡した。
物語は上巻、下巻の順に読む物で、先に下巻を貸すのは明らかに不自然だ。
右京はその本の中に摘発情報を潜ませ遣り取りしていたと見抜いたのである。

律子は事の発端を語り出す。

半年前の夜、若いエルドビア人女性が律子のもとへ逃げ込んで来た。
彼女には借金があり店で客を取らされていたのだそうだ。
律子は店に送り返しても彼女を救えないと考え野坂に送還を依頼した。
ところが、彼女は「送還は嫌だ」と拒否し自殺してしまった。

自身の行動が思わぬ死を招いたことに責任を感じた律子。
そして死亡した女性が「国際ディスパッチ協会」に利用されていたことを知った。
彼女もまたニコラのように「国際ディスパッチ協会」に借金で縛られていたのだ。

此処に律子は「国際ディスパッチ協会」に利用されている人々を救おうと決意した。
以来、律子は同じ志を持った野坂から得た情報をもとに彼らを事前に逃亡させるように。
それは「国際ディスパッチ協会」からも逃がすことに繋がる筈であった。

「そう言えば、あなたはそんな人でした」呟く右京。

右京たちの小学校時代のことである。
あるクラスメートの筆箱盗難騒ぎが起こった。
容疑はクラスでもっとも立場が弱い少女に向かった。
教師ですらも少女を疑っていた。
これに颯爽と立ち向かったのが転校して来たばかりの律子であった。

「何の証拠もないのに間違っています」
律子は教師やクラスメートに毅然として言い放った。

そんな律子の言葉は正しかった。
盗難ではなく単なる思い違いだったのだ。
筆箱はすぐに見つかった。
律子の言葉を聞いた右京が調査に乗り出し真相が明らかになったのである。

そして現在、再会が悲劇的な結末を迎えた2人。
結局、律子は出頭することに。
律子が出頭したと知らされた野坂も真相を語り出した。

事の起こりは高井が野坂に接近したことであった。
野坂は前々から「国際ディスパッチ協会」の悪事に目を付けていたのだが、上層部の圧力でそれも叶わずに居た。
この機会に高井から情報を得ようとしたのだが……。

逆に、高井は情報流出をネタに野坂を脅迫し始めた。
毅然と拒否していた野坂だが、高井は遂に律子を巻き込むと言い出した。
逆上した野坂は高井を殺害してしまったのであった。
死体の処理に困った野坂はビルで働いていたマリオに助けを求め、死体を遺棄したのである。

その頃、斉川はほとぼりが冷めるまで国外逃亡を図るべく空港に居た。
そんな斉川の前に立ち塞がったのは……右京たちだ。
右京は斉川に入管法違反、職業安定法違反、コカイン密輸の罪を問う。
しかし、具体的な物証が何1つなく手が出ない。
「何時か捕まえる」と口にする右京を振り返りもせず、斉川はエルドビアへと出国してしまった。

結局、実際に罪を問われたのは野坂や律子であった。
右京は野坂の罪の原因が律子にあると指摘する。
そんな右京に律子は「正義とは人を救わなければ意味が無い」と応じる。

ふと、過去を思い出す右京と律子。

筆箱の盗難騒ぎ以降、律子はクラスで孤立し肩身の狭い想いをしていた。
さらに冬休み中に親の都合で引越すことになってしまった。
誰の見送りもなくその地を去ろうとする律子であったが、たった1人だけ静かに見送りに来た人物が居た。
それこそ右京だったのだ。

当時を振り返る律子と右京の目は何処か優しく寂しい色を湛えていた。

特命へ戻って来た右京、そんな右京に冠城が呟く。

「良かったんですかね。本当の悪党は罪を逃れたのに正義を行おうとした野坂さんや律子先生が罪を問われるだなんで」
「それだけのことをしたんです」

何やら遣り切れない様子の冠城に、それが当然と断ずる右京。

「もしかして、律子先生は初恋の人ですか?」

居た堪れなくなった冠城は一矢報いようと右京を茶化す。
普段の右京ならば特に動じない筈であったが。

「いえ……」

これまたあっさりと答えようとした右京が口ごもった。

「ただちょっと他の子とは違ったかもしれませんね」

そう語る右京は俯きがちに目を細めていた―――16話了。

<感想>

シーズン14第16話。
脚本は山本むつみさん。

サブタイトルは「右京の同級生」。
右京と律子、互いに幼い時分から強い正義感の持ち主でしたがその方向性の違いから悲しい結末を迎えることとなりました。

その方向性の違いこそ「絶対的正義」と「弱者救済の為の正義」。

右京は「絶対的正義」の持ち主、正義を行うにも法の範囲内で事を行おうとする。
彼にとっては弱者であろうとも法を犯せば罪に問われるべき対象となる。
右京は右京が信じる法と正義に反する者、全てを裁こうとする。
しかし、それには法に基づく故の限界があった。
結果、違法行為に手を染めながら法に守られた斉川の逃亡を許してしまうことに。

一方、律子は「弱者救済の為の正義」の持ち主、弱者が救えない正義では意味が無いと考える。
だから、弱者を救う為に法を逸脱してしまった。
また、彼女は自らの手を汚してでも弱者を救おうとする。
結果、その罪を問われることに。
言わば、律子は「ダークナイト」と言えなくもありません。

とはいえ、右京にしても律子にしても手の届く範囲に留まらざるを得ず、いずれの正義にしても明らかな悪である斉川を糺すには至らないのが辛いところですね。
むしろ、律子の行動は斉川の悪行を陰ながら隠蔽する結果にすらなっていますし。
劇中の描写によると摘発を逃れた人々は遠方の農地などで働いているようですが、その後にどうなるのかについても不透明なのが切ない。
結局のところ、システムや状況を変えない限りは斉川は捕らえられないし、たとえ斉川が捕らえられても第二、第三の斉川が生まれることになる。
正義を行うには確たる信念と力が必要―――そう痛感させられる結末でした。

ちなみに劇中に登場したミヒャエル・エンデ著『はてしない物語』。
映画「ネバーエンディング・ストーリー」の原作としても知られる作品ですが、内容は主人公が世界の崩壊を救う物語。
これにより律子の何かを救おうとする強い正義感を示していたのかもしれませんね。

一方、今回も冠城は何やら思うところがある様子。
日下部に対してもそうだし、右京に対してもそう。
これは今話だけなのか、それともシリーズに跨る何かに繋がるのか。
此の点も注目と言えるかもしれません。

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2016年02月11日

「相棒season14」第15話「警察嫌い」(2月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「相棒season14」第15話「警察嫌い」(2月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season14」第15話「警察嫌い」(2月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)。

<ネタバレあらすじ>

ある朝、今日も伊丹が事件現場に駆け付けていた。
伊丹は普段の渋面を崩すことなくブルーシートに覆われる現場のマンションへと乗り込んで行く。

そんな事件現場を向かい側のマンションから覗き込む人影が。
人影はその様子を目にするなり舌打ちを繰り返す。

現場であるマンションの一室に辿り着いた伊丹。
其処には米沢が先着していた。
米沢によれば、被害者は共和堂大学政経学部に在籍する女子大生・色川真子(澄音)。
室内を一瞥した伊丹はその金回りの良さに舌を巻く。

その日の昼のことである。
公務員の青木(浅利陽介)は上司から真子の事件について聞かれ不機嫌さを隠そうともしていなかった。
この青木こそ真子のマンションの向かい側の住人であり、舌打ちを繰り返した当人である。

同じ頃、ホテルのラウンジでは角田(山西惇)が苦い顔である人物と対峙していた。
その相手は広域暴力団「伊縫組」の組長・伊縫剛(上杉祥三)。
伊縫は角田から真子殺害について情報を引き出そうとしていたのだ。
それもその筈、真子は伊縫が愛人に産ませた娘であった。
伊縫は真子殺害犯の早期逮捕を願っているのだそうだが……。

事情を角田から聞かされた右京(水谷豊)と冠城(反町隆史)が捜査に乗り出した。

真子の死因はガウンの紐による絞殺。
死亡推定時刻は23時から0時の間。
ただし、真子が風呂上りであったことから顔見知りの犯行が疑われているらしい。
また、第一発見者は同じ大学の同級生男子。
とはいえ、恋人ではなく真子のアッシー君だったのだそうだ。

これを聞いた右京は自身の乗り出すべき事件では無いと判断するのだが、冠城に押し切られるように犯行現場へ連れ出される。

渋々ながら犯行現場を見回した右京、向かい側のマンションの人影に目を留めることに。
その人影は真子の部屋を凝視していたのだ。
そう、青木だ。

こうして青木を訪ねた右京たち、彼は右京たちを軽くあしらいつつ「犯行を目撃した」と驚くべき証言を行う。
ところが、目撃した内容については「協力する気はない」と拒否し始めてしまう。

そんな中、伊丹たちが3人の被疑者を検挙した。
それぞれがそれぞれに疑わしき点があり、誰が犯人とは絞り込めないらしい。

まずは、第一発見者で真子のアッシーである谷純一郎。
なんと、真子のガウンから谷の指紋と汗が検出されたのだ。
だが、谷によればトイレを借りた際に我慢し切れずガウンに頬ずりしてしまったのだと言う。
当然、殺害は否定している。

続いて、真子の恋人を名乗る森下美緒。
どうやら真子はバイセクシャルだったようだ。
美緒は真子宛に「お前、ぶち殺してやるからな」とのメールを送信していた。
どうやら、2人の仲は上手く行っていなかったらしい。
美緒によれば訪問した時点で真子は入浴中だったのだそうだが……これまた殺害は否定している。

そして石川敬三、真子のバイト先であるペットショップの常連客であった中年男性だ。
とはいえ、石川の狙いはペットよりは真子自身だったようだが。
犯行当日も石川はSMグッズを多数持参し真子宅を訪れていた。
ところが、其処には死亡した真子が横たわっていたと言う。
これも殺害は否定している。

なるほど、3人ともに怪しいが決定打は特にない状況であった。

ところが翌朝、事件はさらに混迷の度合いを深めることに。
なんと、被疑者3人が3人共に犯行を認めてしまったのだ。
つまり、3人の中に真犯人が居たとしても残る2人が自白を強要されてしまったことになる。
これは大問題だ。

右京は3人の被疑者の担当を変えて再度取調べを行うべきではないかと伊丹に提案。
しかし、伊丹はこれを丁重に拒絶する。
実は、伊丹は目撃者である青木を頼りにしていたのだ。
なにしろ青木が全てを目撃したのならばその証言ひとつで解決するのだから。

右京たちと共に青木を訪ねた伊丹。
ところが、青木はあっさりと証言を拒否する。
当初は自信満々だった伊丹だがみるみる青褪め、次いで紅潮し始めた。
見かねた冠城は「証言に自信が無いんでしょう」と青木に揺さぶりをかける。
だが、逆に青木から「ビデオもありますよ、犯人の顔もバッチリです!!まっ、協力しませんけどね」と反撃されてしまうことに。

「何があったの?」
職場に戻った青木、上司から尋ねられたその顔は怒りに震えていた。
どうやら、先程の遣り取りは青木にとってよほど腹が立つことだったらしい。
上司によれば、青木の父も警察官なのだそうだが……。

一方、青木の協力を得られなかった伊丹たちは「盗撮容疑で令状を取って青木のビデオを押収する方法」を目論む。
冠城はと言えば「杉下さんなら別の方法で何とかしてくれますよね」と右京の手腕に期待する素振りを見せる。
これに満更でも無い様子の右京だが……。

矢先、容疑者3人が犯行を認めたとの記事が報道された。
当の青木は記事を目にするや大喜び、さらに真子殺害の現場映像を眺めつつ満足そうに夕食を口にする。

翌朝、伊丹たちは自身の計画が頓挫したことを知らされる。
令状の許可が下りなかったのだ。
どうやら、例の記事が影響したらしい。

ところが、特命係では右京が表情を変えていた。
令状を阻止したのは冠城の仕業だったのだ。
冠城はどうしても右京に事態を収拾させたいらしい。

そんな中、青木に伊縫が接触した。
伊縫は青木に目撃証言を行うように頼み込む。
だが、青木はこれをはっきりと拒絶する。

其処へ冠城が駆け付けた。
冠城は「伊縫が伊縫組組長だ」と身許を明かし青木を牽制する。
しかし、それでも青木は譲らない。

その場は引き下がることとした伊縫。
冠城は青木に「協力しないと安全は保障出来ませんよ」と暗に脅迫を行う。
これに対し、青木は「其処を何とかするのがあんたらの仕事だろ」と主張することに。

さて、この様子を眺めていた右京は「マッチポンプだ」と冠城を批判する。
伊縫に情報を教え、引き合わせたのは冠城だったのだ。
青木が伊縫の圧力に屈することを期待したらしい。

これを知った角田がキレた。
角田から管理責任を問われた右京が遂に動き出す。

その夜、日下部から冠城に「ほどほどにしろ」との忠言が飛んだ。
何やら、考え込む冠城であったが……。

翌日、青木は右京に喫茶店へ呼び出されていた。
右京は青木に対し下手に出つつ、それとなく面通しを依頼する。
机に被疑者3人とされる写真を並べると「全員、被害者女性と関係を持っていました」と告げたのだ。

興味無さそうにしつつも、そっと覗き込む青木。
ところが、机に並べられたのは被疑者ではなく角田課長ら組対5課メンバーの写真である。
当然、これを知らない青木は何やら納得すると鼻で笑ってその場を後にする。

喫茶店を出た青木。
未だにニヤニヤと笑いを浮かべながら歩く青木の前を行き交う人々。

1人目は若い男性。
ぶつかりそうになった青木はそっと避けたが、特に興味を示さない。

2人目は若い女性。
青木は彼女を目にしつつ、特に興味を示さない。

3人目は中年の男性。
此処で青木が極端に反応した。
明らかに相手から顔を背けると距離を取ろうと離れて歩き出した。

「ご協力ありがとうございます!!」
途端、物陰から陽気に冠城が飛び出して来た。

「やはり驚きますよね。被疑者3人とニアミスをしたんですよ」
次いで、青木の背後から右京が声をかける。

そう、青木とすれ違った3人は谷、美緒、石川であった。
右京は敢えて3人と青木をニアミスさせることで青木の様子を窺ったのだ。
そして、青木は石川が犯人であると態度で示した。
角田課長らの顔写真は青木に真犯人が未だ逮捕されていないと思い込ませる為の罠だったのだ。

「だから嫌いなんだ!!」
逆上する青木、そんな青木に「そう言えばあなたのお父様は警察官をされていますね」と語りかける右京。

「他人のプライベートに踏み込むんじゃないよ!!」
右京の言葉に青木はさらに激しく怒り出した。

「あなたが今後、2度と犯罪に出くわさないことを祈ります。我々やあなた、被害者の為にも」
そんな青木の態度に右京はそっと告げるのであった。

数十分後、自宅に戻った青木はビデオカメラから犯行現場が撮影されたSDメモリを取り出していた。
その傍らには右京と冠城が立っている。
一矢報いようとSDメモリを割ろうとする青木。

「あっそれ、証拠隠滅ですよ」
冷静に冠城に指摘された青木は呆然とすることに。

「誤解され易いんですよね〜〜〜証拠隠滅が罪に問われるのって犯人じゃなくて第三者が行った場合なんです。犯人だったら隠滅して当然ですから」
「その罰は2年以下の懲役、20万円以下の罰金です」
「だから嫌いなんだよ!!」
冠城、右京の連携に今度こそ敗北を認めた青木であった。

同じ頃、取調室の石川の前には伊丹ら6人が立ち塞がっていた。
今度こそ、石川の口から真実が明かされることになるだろう。

その夜、冠城は右京から「今回の態度についてお説教」を宣言されていた。
どうやら、今宵は長くなりそうだ―――15話了。

<感想>

シーズン14第15話。
脚本は輿水泰弘さん。

サブタイトルは「警察嫌い」。
そのものズバリ青木自身を指したものですね。
青木は父が警察官だそうなので、父親への感情が父の仕事へと向かってしまったと言ったところでしょうか。
親子相克がありそうだなぁ……。
ただ、青木は真子殺害の映像を眺めながら嬉々として食事出来る時点で精神的にかなりヤバイ人のような気がします。

今回は「そんな青木に如何に面通しに協力させるか」がポイントでした。
此処で右京が採用した方法は、劇中で伊丹が「お時間都合の良い時で大丈夫なので来て貰えませんか」と青木に足を運ぶように依頼していたものと対比されています。

まず「目撃者側から足を運んで貰うのがダメ」ならば「被疑者側から足を運ばせれば良い」。
そして「口に出して指摘して貰うのがダメ」ならば「態度で表現して貰えば良い」。
何より「協力して貰うのがダメ」ならば「協力せざるを得ない状況を作れば良い」。
まさに逆転の発想を用いたワケです。

その一方で本作では「冤罪の恐ろしさ」、さらに「人間による証言を重視することの危険性」も描かれていました。

まずは「冤罪の恐ろしさ」。
何しろ、3人の被疑者が3人とも罪を自供してしまったとの事実は恐ろしい。
そのうち、2人は身に覚えのない罪を自供してしまっているワケで。
あってはならない出来事です。

さらに「人間による証言を重視することの危険性」。
ビデオなどの物証と異なり、人は過ちを犯す生き物です。
たとえ本人にその気が無くとも証言を誤ることはあるかもしれない。
見たつもりの物が見えてなかったり、思い込みから見誤ることはあり得る。
それはその日のコンディションや感情にも左右されるかもしれない。
さらに、故意に証言を捻じ曲げることもあり得る。
それは相手への好意であったり、買収されたりもあるでしょう。

そんな危険性を体現した存在が青木でした。
青木は素直に嫌悪感を表に出し協力拒否していましたが、あれが嫌悪感を内に秘めつつ嘘を述べたとしたら。

例えば、青木が表向きは伊丹の申し出に応じ面通しに協力する素振りを見せる。
ところが、実際は不快感から嫌がらせで石川ではなく谷を犯人だと告発したら。
もちろん、虚偽の証言を行ったことで青木は罪に問われるでしょう。
ただし、青木が虚偽の証言を行ったと分かれば……の話です。

そもそもそれが虚偽の証言だと分かる為には石川が犯人であることが判明せねばならない。
犯人が分からなかったからこそ青木に頼った以上、これは相当に困難です。
「谷が犯人ではない」との確たる事実が無ければ疑う余地も無いでしょう。
さらに、偽証の罪を問うには青木が故意であることを証明せねばならない。
これを乗り越えない限り、青木の気分次第で石川ではなく谷が罪に問われることとなるのです。

背筋が凍る恐ろしい事態だと思わずには居られません。
すなわち「証言とは証言者の性善説に基づかなければかくも危険を秘めている」ことになる。
この意味で右京の「あなたが今後、2度と犯罪に出くわさないことを祈ります」との言葉は適切でした。
また、これは青木に限らず大きな問題点だと言えるのかもしれません。

そして急に曲者ぶりを発揮し始めた冠城。
これは今話だけなのか、それともシリーズに跨る何かに繋がるのか。
此の点も注目と言えるかもしれません。

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